今でこそ日本はホモセクシャルやレズビアンに対して多少寛容になっていますが、以前の日本はセクシャルマイノリティーに対して厳しい国だったと思います。
フィリピンに通い始めたり、フィリピンに住むと必ず出会うのが、バクラ(おかま)とトンボーイ(レズビアン)です。タイもオカマが多いのは有名で、市民権を得ているレベルです。
トロトロ食堂でご飯を食べていると、店主がバクラであったり、そのへんでウロウロしている毛深い男が振り向くと口紅を塗っていたりします。
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他人に甘いフィリピンは日本の屑を更に甘やかしてしまう
バスの車掌がトンボーイでズボンを履いて、髪の毛を短く切って男性のようにしています。美容室に行けば必ずバクラがいますし、沢山の兄弟姉妹の中にはバクラヤトンボーイがいます。
スラムのバスケットボールの試合にはバクラVSトンボーイという試合があり、スラム中が大盛り上がりで白熱した試合をしています。
バクラもとんボーイもある程度市民権を得ていますので、堂々と明るく生きています。フィリピンのドタバタ映画には必ずと言っていいほど、バクラが道化として登場し笑いを取ります。
フィリピンの人々は世の中には必ず異常なものがあって、異常なものがない社会こそが異常だということを知っています。
異常なものがあってはじめて人間の住む世の中だと本質を理解していますから、フィリピン人は異常なものを受け入れる器があります。
「まぁ、そんなこともあるんじゃない?」という極めておおらかな受け入れ方をします。このおおらかさがフィリピン人の美しい性質を形作っています。
1990年台に流行ったフィリピンのテレビ番組のスーパーセレナは、おかまが美人ぶりを競うコンテスト番組ですが結構な人気でした。
そこで年間チャンピオンになったリナという女性が、元ホストが勤めていたKTVに雇って欲しいと来店しました。とびっきりの美女ですから、二つ返事で採用し店に出てもらいました。
身長170cmでスタイル抜群のスパニッシュ系のフィリピーナですから、リナに惚れ込んで通ってくる駐在員は一人や二人ではありませんでした。
リナはニューハーフです。ニューハーフを知っていながらも通っている人もいましたが、多くは彼女と親密になりたいと思う男たちばかりでした。
そんなきれいなフィリピーナですから元ホストも普通の女性として接していましたし、リナも元ホストに対して好意を抱いていたのか親密になりました。リナは一切手術をしていませんから体は男です。
それでも元ホストは意に介さず関係を続けました。気持ちは女性ですし、顔も女性です。神様も間違えることが有るんだという気がしたほどです。
元ホストは根っからの女好きでした。午前中、午後、夕方、夜と別々のフィリピーナと会って過ごすことなど当たり前でした。元ホストのフィリピーナの奥さんに「あなた、お願いだから女遊びだけはやめて」と言われ、痛いほど言葉の重みがわかっているのにやめません。
元ホストは生まれながらにして道楽者で、何一つ世のために役に立っていなくて、社会からバカにされ軽蔑されて当然のくだらない男です。
しかもお金がない困窮邦人です。日本に住んでいたアホがマニラに来て更にアホになってしまいました。自分には甘いが人にはさらに甘いフィリピン人優しい思いやりにどっぷりと浸かって甘えている救いようのない男です。
マニラ湾に目が潰れるくらいに大きなオレンジ色の太陽が落ちていきます。ゆらゆらと燃える赤い火が黄昏の陰影を深めながら最後の日を燃やしています。
海が揺れて、船が揺れて、バンカが揺れます。
元ホストはあまりの自分の不甲斐なさとクズさ加減に、海に向かって「プータエナモ」と叫びました。
相手を徹底的に罵倒する言葉ですが、いつの間にか自分の中へと向かう言葉になっていました。
続く
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